第64回 三枝成彰編曲『星の界』
寒い日が続きますね。いよいよ冬到来といったひんやりとした空気です。今月、ご紹介したいのは三枝成彰さんアレンジの「星の界」です。「星の界」と書いて「ほしのよ」と読むそうです。そして聴けばだれでも「あ~、あの曲ね、結婚式で歌う曲!」と分かると思いますが、讃美歌の312番と同じメロディーラインです。
実は私は、この讃美歌が結婚式で流れると非常に涙腺が弱くなります。何とも敬虔な気持ちになるようで、毎回感動してしまうのです。そんな曲がとても贅沢なアレンジで出版されていることを知ったのは、20年ほど前。クラシックよりもアレンジものやニューミュージックの方がどちらかといえば好きだった、ということもあって、当時は片っ端から楽譜を買い集めて弾くのが趣味のような感じでした。
中でも、このアレンジ集は日本の童謡や唱歌、外国の民謡など、オーソドックスなものをキラキラにアレンジしたものばかり。しかも、音がたくさんあるので響きが豊か、テクニック的にも少々ハイレベルな部分もあるので弾きごたえも十分です。地元の敬老会の催し物で「聴いたことのある曲を弾いてもらいたい」というリクエストがあって、この曲集の中から何曲か弾いたところ、皆さんとても喜んでくださいました。昔から親しまれている唱歌のアレンジなんて素敵ですよね。
「星の界」は高音の透き通るような切なさ溢れる前奏から始まり、メロディーラインに対する伴奏の音域がどんどん広がっていき、壮大な冬の夜空を連想させます。F durからAs durに転調してからは、空に溢れるような星々が流れていくようなアルペジオの連続の伴奏にイメージがどんどん広がっていきます。間奏もとても心が癒されるような和音進行で、次はどんな星空なんだろう~~とドキドキ。
少し大人っぽい曲ですので、中高生からオススメです。そして大人のピアノ愛好者の方々、ぜひサロンコンサートなどでの演奏にいかがですか?